1. 前提条件(3月実績ベース)
EC全体売上(3月)
¥11,500,602
YoY +31.37%
Amazon売上
¥3,469,548
広告費 ¥260,211
楽天売上(廃盤抜き)
¥8,031,054
広告費 ¥1,400,139
広告費合計
¥1,660,350
広告経由売上 ¥4,576,120
ROAS(3月実績)
| チャネル | 計算式 | ROAS |
|---|---|---|
| Amazon | ¥1,308,656 ÷ ¥260,211 | 5.03 |
| 楽天 | ¥3,267,464 ÷ ¥1,400,139 | 2.33 |
2. 変数一覧
固定変数(全シミュレーション共通)
| 変数 | 値 | 説明 |
|---|---|---|
| Amazon ROAS | 5.03 | 3月実績。全月に適用 |
| 楽天 ROAS | 2.33 | 3月実績。全月に適用 |
| Amazon 成長率 | +40% | 前年実績に対して適用 |
| 楽天 成長率 | +20% | 前年実績に対して適用 |
可変変数
| 変数 | パターン | 説明 |
|---|---|---|
| ①の料率 | 5%(基準) | 広告経由売上に対する報酬率 |
| ②の配分 | 未定 | ①料率と③料率の組合せ |
| ③の料率 | 8.3% or 5% | 8.3% = 3月実績で①(5%)と同水準になる逆算値 |
| ④の料率 | 未定 | 広告経由売上の成長分に対する報酬率 |
| ⑤の料率 | 5%(基準) | 広告費に対する報酬率 |
3. 契約パターン一覧
| パターン | 計算方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| ① | 広告経由売上 × 料率 | 広告成果に直接連動。安定性高。報酬最大 |
| ② | ①+③ハイブリッド | ベース+インセンティブの組合せ |
| ③ | 全体売上の成長分 × 料率 | EC全体貢献を評価。成長率依存 |
| ④ | 広告経由売上の成長分 × 料率 | 広告パフォーマンス改善分にインセンティブ |
| ⑤ | 広告費 × 料率 | 計算シンプル。報酬最小 |
② ハイブリッドの計算式
② = (広告経由売上 × ②①料率) + (全体売上の成長分 × ②③料率)
④ 広告経由売上の成長分
Amazon前年広告費 = 2026年Amazon広告費 ÷ 1.40 楽天前年広告費 = 2026年楽天広告費 ÷ 1.20 広告経由売上の成長分 = (Amazon2026年広告費 × 5.03 − Amazon前年広告費 × 5.03) + (楽天2026年広告費 × 2.33 − 楽天前年広告費 × 2.33) ④ = 広告経由売上の成長分 × 料率
4. 計算ロジック(各月)
Step 1:前年実績の算出
Amazon前年実績 = 予測表Amazon売上 ÷ (1 + 予測表Amazon YoY%) 楽天前年実績 = 予測表楽天売上 ÷ (1 + 予測表楽天 YoY%)
Step 2:新売上予測(Amazon +40%、楽天 +20%)
Amazon新売上 = Amazon前年実績 × 1.40 楽天新売上 = 楽天前年実績 × 1.20
Step 3〜7
成長分合計 = (Amazon新売上 − Amazon前年実績) + (楽天新売上 − 楽天前年実績)
広告費合計 = Amazon広告費 + 楽天広告費
広告経由売上 = (Amazon広告費 × 5.03) + (楽天広告費 × 2.33)
広告経由売上の成長分 = (Amazon広告費 × 5.03 − Amazon前年広告費 × 5.03)
+ (楽天広告費 × 2.33 − 楽天前年広告費 × 2.33)
① = 広告経由売上 × ①料率
② = (広告経由売上 × ②①料率) + (成長分合計 × ②③料率)
③ = 成長分合計 × ③料率
④ = 広告経由売上の成長分 × ④料率
⑤ = 広告費合計 × ⑤料率
5. 月別入力データ(予測表より)
| 月 | Amazon売上 | A-YoY% | 楽天売上 | R-YoY% | A広告費 | R広告費 | 広告費合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 3月(実績) | 3,469,548 | 30.0% | 8,031,054 | 30.0% | 260,211 | 1,400,139 | 1,660,350 |
| 4月 | 2,152,692 | 30.0% | 10,532,069 | 30.0% | 258,323 | 1,263,848 | 1,522,171 |
| 5月 | 1,367,787 | 20.0% | 7,526,038 | 20.0% | 127,067 | 699,169 | 826,236 |
| 6月 | 2,107,400 | 30.0% | 8,141,455 | 30.0% | 195,777 | 756,342 | 952,119 |
| 7月 | 3,037,819 | 30.0% | 6,785,325 | 30.0% | 282,213 | 630,357 | 912,570 |
| 8月 | 2,489,917 | 30.0% | 5,746,386 | 30.0% | 231,313 | 533,840 | 765,153 |
| 9月 | 2,541,701 | 30.0% | 7,388,170 | 30.0% | 236,124 | 686,361 | 922,485 |
| 10月 | 3,499,345 | 43.3% | 10,075,821 | 43.3% | 419,921 | 1,209,099 | 1,629,020 |
| 11月 | 4,311,526 | 43.3% | 10,753,356 | 43.3% | 517,383 | 1,290,403 | 1,807,786 |
| 12月 | 3,510,890 | 43.3% | 11,780,471 | 43.3% | 421,307 | 1,413,656 | 1,834,963 |
6. 計算例(4月)
全体売上の成長分
Amazon前年実績 = 2,152,692 ÷ 1.30 = 1,655,917 楽天前年実績 = 10,532,069 ÷ 1.30 = 8,101,592 Amazon新売上 = 1,655,917 × 1.40 = 2,318,284 楽天新売上 = 8,101,592 × 1.20 = 9,721,910 成長分合計 = (2,318,284 − 1,655,917) + (9,721,910 − 8,101,592) = 2,282,685
広告経由売上
広告経由売上 = (258,323 × 5.03) + (1,263,848 × 2.33) = 4,244,131
広告経由売上の成長分
Amazon前年広告費 = 258,323 ÷ 1.40 = 184,516
楽天前年広告費 = 1,263,848 ÷ 1.20 = 1,053,207
広告経由売上の成長分 = (258,323 × 5.03 − 184,516 × 5.03)
+ (1,263,848 × 2.33 − 1,053,207 × 2.33) = 862,041
報酬計算
① = 4,244,131 × 5% = 212,207 ② = 4,244,131 × 3% + 2,282,685 × 2.2% = 177,538(案B) ③ = 2,282,685 × 5.6% = 127,830(案B) ④ = 862,041 × 10.5% = 90,514(案B) ⑤ = 1,522,171 × 5% = 76,109
7. 月別シミュレーション結果(4月〜12月)
| 月 | 全体成長分 | 広告経由売上 | 広告経由成長分 | ① 5% | ③ 8.3% | ③ 5% | ④ 10% | ⑤ 5% |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 2,282,685 | 4,244,131 | 862,041 | 212,207 | 189,463 | 114,134 | 86,204 | 76,109 |
| 5月 | 1,710,269 | 2,268,211 | 454,124 | 113,411 | 141,952 | 85,513 | 45,412 | 41,312 |
| 6月 | 1,900,962 | 2,747,035 | 575,072 | 137,352 | 157,780 | 95,048 | 57,507 | 47,606 |
| 7月 | 1,978,610 | 2,888,263 | 650,369 | 144,413 | 164,225 | 98,930 | 65,037 | 45,628 |
| 8月 | 1,650,188 | 2,407,352 | 539,738 | 120,368 | 136,966 | 82,509 | 53,974 | 38,258 |
| 9月 | 1,918,703 | 2,786,925 | 605,881 | 139,346 | 159,252 | 95,935 | 60,588 | 46,124 |
| 10月 | 2,383,044 | 4,929,403 | 1,073,020 | 246,470 | 197,793 | 119,152 | 107,302 | 81,451 |
| 11月 | 2,704,314 | 5,609,075 | 1,244,660 | 280,454 | 224,458 | 135,216 | 124,466 | 90,389 |
| 12月 | 2,624,180 | 5,412,993 | 1,154,448 | 270,650 | 217,807 | 131,209 | 115,445 | 91,748 |
| 合計 | 19,152,955 | 33,293,388 | 7,159,353 | 1,664,669 | 1,589,695 | 957,648 | 715,935 | 558,625 |
累計サマリー
| パターン | 9ヶ月累計 | 月平均 | vs ① |
|---|---|---|---|
| ① 広告経由売上×5% | ¥1,664,669 | ¥184,963 | 100%(天井) |
| ③ 全体売上成長分×8.3% | ¥1,589,695 | ¥176,633 | 95% |
| ③ 全体売上成長分×5% | ¥957,648 | ¥106,405 | 58% |
| ④ 広告経由売上成長分×10% | ¥715,935 | ¥79,548 | 43% |
| ⑤ 広告費×5% | ¥558,625 | ¥62,069 | 34%(底) |
①と同水準にするための料率逆算
| パターン | 必要料率 |
|---|---|
| ③ 全体売上成長分 | 8.7%(≒8.3%) |
| ④ 広告経由売上成長分 | 23.3% |
| ⑤ 広告費 | 14.9% |
8. 交渉用配置案(案B推奨)
①(天井)と⑤(底)の間に②③④を配置する。
| パターン | 料率 | 累計 | vs ① | 位置づけ |
|---|---|---|---|---|
| ① 広告経由売上 | 5% | ¥1,665K | 100% | 天井(EAPベスト) |
| ② ハイブリッド | ①3% + ③2.2% | ¥1,415K | 85% | 交渉の落としどころ |
| ③ 全体売上成長分 | 5.6% | ¥1,082K | 65% | 中間選択肢 |
| ④ 広告経由売上成長分 | 10.5% | ¥749K | 45% | 中間選択肢 |
| ⑤ 広告費 | 5% | ¥559K | 34% | 底(先方ベスト) |
9. 現在の交渉方針
現方針:広告経由売上×5%(①)が最安定・最大報酬だが、先方よりインセンティブ報酬制度のリクエストをいただいているため、売上全体の成長分に対して8.3%で契約を行いたい。成長分の算出はベース前年売上の増減管理が実務上困難なため、ベース増減は省いた簡易計算で運用。
② ハイブリッドは、ベース報酬(広告経由売上×3%)で安定性を確保しつつ、インセンティブ(成長分×2.2%)で成果連動も組み込める構造。「成長しなければインセンティブ部分は払わなくていい」というフェアさがあり、①の85%水準を確保できる落としどころとして準備。
10. 戦略コンサル視点による評価とアドバイス
現行方針を戦略コンサル視点で評価し、交渉戦略・リスク・落としどころの再設計を行う。
10-1. 交渉戦略の評価
妥当な点
- ①を基準値として握っている点は正しい。過去実績ベースで最も予測可能性が高く、EAP側の稼働計画が立てやすい
- ③8.3%をアンカー提示する戦術は、①とほぼ同額(95%)に着地する設計で、先方に「インセンティブ性を持たせた」という納得感を与えられる
- ②ハイブリッドを落としどころに用意している点は、交渉の三段構えとしてセオリー通り
改善点
- ③8.3%は「成長率が前提通り出た場合」の話。成長が鈍化すると報酬が急減する片側リスクをEAPが丸抱えしている。アンカリングの前に「下振れシナリオ」を先に見せて、固定+変動のハイブリッド設計の必然性を演出すべき
- 落としどころが②に寄りすぎると、①比85% = 年間約330万円の機会損失。②の料率(①3%+③2.2%)を再設計し、①90〜92%水準に引き上げる余地あり
- 成長率+31.37%という実績値を「EAPが作った成果」として先に合意形成してから料率交渉に入る順序が重要
10-2. リスク分析
| パターン | EAPリスク | 先方リスク | 歪みインセンティブ |
|---|---|---|---|
| ① 広告経由売上×5% | 低 | 中 | 広告費膨張懸念 → 予算キャップ必須 |
| ② ハイブリッド | 中 | 中 | 計算複雑、経理工数増大 |
| ③ 全体売上成長分 | 高 | 低 | 商品欠品・季節変動・競合参入などEAP制御外要因で報酬ゼロの可能性 |
| ④ 広告経由売上成長分 | 最大 | 低 | 既存リピートが「成長」に寄与しにくく報酬削られる |
| ⑤ 広告費×5% | 低(額も底) | 高 | 広告費を膨らませるインセンティブが働く=最悪設計。提案NG |
10-3. 見落としがちな論点
ベース売上の定義(最重要)
- 成長分の分母を「前年同月」か「直近3ヶ月平均」か「前年同期」か契約書に明記必須
- 新商品投入・卸販路変更・ポップアップ等の非EC要因を分母から除外するか
- Amazon・楽天以外のモール追加時の扱い
最低保証(ミニマムギャランティ)
- ③採用時は月額30〜50万円の固定フィー+成果報酬が必須。EAP稼働コスト(運用担当人件費)の最低ラインを確保
上限キャップ
- 先方保護のため「月間報酬上限 = 広告経由売上×7%相当」等のキャップを設定し、想定外の爆発的成長時の支払い不安を解消
契約期間・解約条項
- 最低12ヶ月縛り(成果リードタイム確保)
- 解約予告3ヶ月前、途中解約時は残期間の50%精算
計測トラブル時の扱い
- GA4・Amazon Brand Analytics・楽天RPP計測停止時の代替指標(前月同水準保証等)
- モール側の仕様変更(iOS ATT等)で計測値が変動した場合の再協議条項
経費の扱い
- 広告費は誰が立替えるか(先方持ち前提で明記)
- 制作費・ツール費用の別建て
10-4. 推奨シナリオ
最終落としどころ(推奨案):
固定20万円/月 + 広告経由売上×3.5% + 全体売上成長分×3%(月額キャップ50万円)
固定20万円/月 + 広告経由売上×3.5% + 全体売上成長分×3%(月額キャップ50万円)
| 構成 | 9ヶ月累計 | 設計意図 |
|---|---|---|
| 固定フィー ¥200,000 × 9ヶ月 | ¥1,800,000 | EAP稼働コスト担保(下振れ防御) |
| 広告経由売上 × 3.5% | 約¥1,165,000 | 日常運用の成果報酬性を維持(①の70%水準) |
| 全体売上成長分 × 3% | 約¥575,000 | 先方のインセンティブ要望に応える |
| 合計 | 約¥3,540,000 | ①単体の約 213% |
三層構造により先方の「成果連動感」を最大化しつつEAP報酬総額を①より引き上げる設計。
次善案(シンプル重視):②ハイブリッド料率引き上げ版
①4% + ③1.8%(9ヶ月累計 約¥1,617,000、①比97%)。計算がシンプルで先方の経理負担小。
①4% + ③1.8%(9ヶ月累計 約¥1,617,000、①比97%)。計算がシンプルで先方の経理負担小。
10-5. 交渉トーク例
③8.3%提示時のトーク
御社の成長意欲に応える形として、全体売上の成長分に連動する設計を検討しました。3月実績のYoY+31.37%が維持される前提で料率8.3%を置いています。これは現行の広告経由売上連動と同水準の報酬になる設計で、成長が上振れた際は御社とEAPで果実を分け合える一方、万が一成長が鈍化した場合はEAP側が報酬減のリスクを負う構造です。弊社として運用に一層コミットする覚悟の表れとお受け取りください。
論理構成:(1)先方要望の受止め → (2)具体料率と根拠 → (3)上振れメリット強調 → (4)EAPのリスクテイク明示(交渉上の貸し)
②ハイブリッドへの落としどころトーク
ご懸念の通り、成長分単独ですとEAP側のリスクが大きく、運用体制を維持する上で厳しい面があります。そこで広告経由売上に連動する固定的な成果報酬と、全体成長に連動するインセンティブを組み合わせたハイブリッド型をご提案します。料率は広告経由4%+成長分1.8%で、想定ベースでは現行水準とほぼ同等、成長が伸びれば御社負担を抑えながらEAPもインセンティブを得られる設計です。運用の安定性と成果連動性を両立する落としどころとしていかがでしょうか。
論理構成:(1)③のEAPリスクを正直に開示 → (2)ハイブリッドの合理性(安定+インセンティブ) → (3)具体料率と想定着地 → (4)「落としどころ」表現で合意を促す
10-6. リスク整理
| リスク | 発生確率 | 影響度 | 対策 |
|---|---|---|---|
| 成長率が前提を下回る | 中 | 高 | 最低保証 + ベース売上定義を明確化 |
| 先方が⑤(広告費連動)を逆提示 | 低 | 高 | 「インセンティブ歪み」論で明確に拒否 |
| 計測トラブルで報酬算定不能 | 中 | 中 | 代替指標・再協議条項を契約に明記 |
| 契約後に値下げ要求 | 中 | 中 | 12ヶ月縛り + 解約予告3ヶ月 |
| 成長分爆発でEAP報酬過大 → 関係悪化 | 低 | 中 | 月額キャップ設定 |
10-7. 追加で必要な情報
- 先方の予算上限(年間コンサルフィー想定枠)
- 過去12ヶ月の月次売上推移(季節変動確認)
- Amazon・楽天以外のチャネル展開計画
- 先方担当者の決裁権限レベル(料率交渉の上限可視化)
- 競合エージェンシーの提示料率情報(ベンチマーク)
結論(経営者向け30秒サマリー)
推奨アクション:
- 交渉の初手は現方針通り ③全体売上成長分×8.3% をアンカー提示(①と同水準を演出)
- ただし落としどころは②ではなく、「固定20万円/月+広告経由×3.5%+成長分×3%」の三層型を目指す(①の213%水準)
- 契約書にはベース売上定義・月額キャップ・12ヶ月縛り・計測トラブル時の再協議条項を必ず明記
- ⑤(広告費連動)は先方から逆提示されても「インセンティブ歪み」論で明確に拒否