契約シミュレーション v5 / 2026年4月 戦略評価付き

大一商事 契約方式シミュレーション ロジック整理 v5

EAPマーケティング支援契約 / 5パターン比較 + 戦略コンサル視点による交渉戦略評価
目次: 1. 前提条件 2. 変数 3. 契約パターン 4. 計算ロジック 5. 月別入力 6. 計算例 7. 9ヶ月シミュレーション 8. 交渉配置案 9. 現交渉方針 10. 戦略コンサル評価

1. 前提条件(3月実績ベース)

EC全体売上(3月)
¥11,500,602
YoY +31.37%
Amazon売上
¥3,469,548
広告費 ¥260,211
楽天売上(廃盤抜き)
¥8,031,054
広告費 ¥1,400,139
広告費合計
¥1,660,350
広告経由売上 ¥4,576,120

ROAS(3月実績)

チャネル計算式ROAS
Amazon¥1,308,656 ÷ ¥260,2115.03
楽天¥3,267,464 ÷ ¥1,400,1392.33

2. 変数一覧

固定変数(全シミュレーション共通)

変数説明
Amazon ROAS5.033月実績。全月に適用
楽天 ROAS2.333月実績。全月に適用
Amazon 成長率+40%前年実績に対して適用
楽天 成長率+20%前年実績に対して適用

可変変数

変数パターン説明
①の料率5%(基準)広告経由売上に対する報酬率
②の配分未定①料率と③料率の組合せ
③の料率8.3% or 5%8.3% = 3月実績で①(5%)と同水準になる逆算値
④の料率未定広告経由売上の成長分に対する報酬率
⑤の料率5%(基準)広告費に対する報酬率

3. 契約パターン一覧

パターン計算方法特徴
広告経由売上 × 料率広告成果に直接連動。安定性高。報酬最大
①+③ハイブリッドベース+インセンティブの組合せ
全体売上の成長分 × 料率EC全体貢献を評価。成長率依存
広告経由売上の成長分 × 料率広告パフォーマンス改善分にインセンティブ
広告費 × 料率計算シンプル。報酬最小

② ハイブリッドの計算式

② = (広告経由売上 × ②①料率) + (全体売上の成長分 × ②③料率)

④ 広告経由売上の成長分

Amazon前年広告費 = 2026年Amazon広告費 ÷ 1.40
楽天前年広告費   = 2026年楽天広告費 ÷ 1.20

広告経由売上の成長分 =
  (Amazon2026年広告費 × 5.03 − Amazon前年広告費 × 5.03)
+ (楽天2026年広告費 × 2.33 − 楽天前年広告費 × 2.33)

④ = 広告経由売上の成長分 × 料率

4. 計算ロジック(各月)

Step 1:前年実績の算出

Amazon前年実績 = 予測表Amazon売上 ÷ (1 + 予測表Amazon YoY%)
楽天前年実績   = 予測表楽天売上 ÷ (1 + 予測表楽天 YoY%)

Step 2:新売上予測(Amazon +40%、楽天 +20%)

Amazon新売上 = Amazon前年実績 × 1.40
楽天新売上   = 楽天前年実績 × 1.20

Step 3〜7

成長分合計   = (Amazon新売上 − Amazon前年実績) + (楽天新売上 − 楽天前年実績)
広告費合計   = Amazon広告費 + 楽天広告費
広告経由売上 = (Amazon広告費 × 5.03) + (楽天広告費 × 2.33)

広告経由売上の成長分 = (Amazon広告費 × 5.03 − Amazon前年広告費 × 5.03)
                     + (楽天広告費 × 2.33 − 楽天前年広告費 × 2.33)

① = 広告経由売上 × ①料率
② = (広告経由売上 × ②①料率) + (成長分合計 × ②③料率)
③ = 成長分合計 × ③料率
④ = 広告経由売上の成長分 × ④料率
⑤ = 広告費合計 × ⑤料率

5. 月別入力データ(予測表より)

Amazon売上A-YoY%楽天売上R-YoY%A広告費R広告費広告費合計
3月(実績)3,469,54830.0%8,031,05430.0%260,2111,400,1391,660,350
4月2,152,69230.0%10,532,06930.0%258,3231,263,8481,522,171
5月1,367,78720.0%7,526,03820.0%127,067699,169826,236
6月2,107,40030.0%8,141,45530.0%195,777756,342952,119
7月3,037,81930.0%6,785,32530.0%282,213630,357912,570
8月2,489,91730.0%5,746,38630.0%231,313533,840765,153
9月2,541,70130.0%7,388,17030.0%236,124686,361922,485
10月3,499,34543.3%10,075,82143.3%419,9211,209,0991,629,020
11月4,311,52643.3%10,753,35643.3%517,3831,290,4031,807,786
12月3,510,89043.3%11,780,47143.3%421,3071,413,6561,834,963

6. 計算例(4月)

全体売上の成長分

Amazon前年実績 = 2,152,692 ÷ 1.30 = 1,655,917
楽天前年実績   = 10,532,069 ÷ 1.30 = 8,101,592

Amazon新売上 = 1,655,917 × 1.40 = 2,318,284
楽天新売上   = 8,101,592 × 1.20 = 9,721,910

成長分合計 = (2,318,284 − 1,655,917) + (9,721,910 − 8,101,592) = 2,282,685

広告経由売上

広告経由売上 = (258,323 × 5.03) + (1,263,848 × 2.33) = 4,244,131

広告経由売上の成長分

Amazon前年広告費 = 258,323 ÷ 1.40 = 184,516
楽天前年広告費   = 1,263,848 ÷ 1.20 = 1,053,207

広告経由売上の成長分 = (258,323 × 5.03 − 184,516 × 5.03)
                     + (1,263,848 × 2.33 − 1,053,207 × 2.33) = 862,041

報酬計算

① = 4,244,131 × 5%                              = 212,207
② = 4,244,131 × 3% + 2,282,685 × 2.2%           = 177,538(案B)
③ = 2,282,685 × 5.6%                            = 127,830(案B)
④ = 862,041 × 10.5%                             = 90,514(案B)
⑤ = 1,522,171 × 5%                              = 76,109

7. 月別シミュレーション結果(4月〜12月)

全体成長分広告経由売上広告経由成長分① 5%③ 8.3%③ 5%④ 10%⑤ 5%
4月2,282,6854,244,131862,041212,207189,463114,13486,20476,109
5月1,710,2692,268,211454,124113,411141,95285,51345,41241,312
6月1,900,9622,747,035575,072137,352157,78095,04857,50747,606
7月1,978,6102,888,263650,369144,413164,22598,93065,03745,628
8月1,650,1882,407,352539,738120,368136,96682,50953,97438,258
9月1,918,7032,786,925605,881139,346159,25295,93560,58846,124
10月2,383,0444,929,4031,073,020246,470197,793119,152107,30281,451
11月2,704,3145,609,0751,244,660280,454224,458135,216124,46690,389
12月2,624,1805,412,9931,154,448270,650217,807131,209115,44591,748
合計19,152,95533,293,3887,159,3531,664,6691,589,695957,648715,935558,625

累計サマリー

パターン9ヶ月累計月平均vs ①
① 広告経由売上×5%¥1,664,669¥184,963100%(天井)
③ 全体売上成長分×8.3%¥1,589,695¥176,63395%
③ 全体売上成長分×5%¥957,648¥106,40558%
④ 広告経由売上成長分×10%¥715,935¥79,54843%
⑤ 広告費×5%¥558,625¥62,06934%(底)

①と同水準にするための料率逆算

パターン必要料率
③ 全体売上成長分8.7%(≒8.3%)
④ 広告経由売上成長分23.3%
⑤ 広告費14.9%

8. 交渉用配置案(案B推奨)

①(天井)と⑤(底)の間に②③④を配置する。

パターン料率累計vs ①位置づけ
① 広告経由売上5%¥1,665K100%天井(EAPベスト)
② ハイブリッド①3% + ③2.2%¥1,415K85%交渉の落としどころ
③ 全体売上成長分5.6%¥1,082K65%中間選択肢
④ 広告経由売上成長分10.5%¥749K45%中間選択肢
⑤ 広告費5%¥559K34%底(先方ベスト)

9. 現在の交渉方針

現方針:広告経由売上×5%(①)が最安定・最大報酬だが、先方よりインセンティブ報酬制度のリクエストをいただいているため、売上全体の成長分に対して8.3%で契約を行いたい。成長分の算出はベース前年売上の増減管理が実務上困難なため、ベース増減は省いた簡易計算で運用。

② ハイブリッドは、ベース報酬(広告経由売上×3%)で安定性を確保しつつ、インセンティブ(成長分×2.2%)で成果連動も組み込める構造。「成長しなければインセンティブ部分は払わなくていい」というフェアさがあり、①の85%水準を確保できる落としどころとして準備。

10. 戦略コンサル視点による評価とアドバイス

現行方針を戦略コンサル視点で評価し、交渉戦略・リスク・落としどころの再設計を行う。

10-1. 交渉戦略の評価

妥当な点

改善点

10-2. リスク分析

パターンEAPリスク先方リスク歪みインセンティブ
① 広告経由売上×5%広告費膨張懸念 → 予算キャップ必須
② ハイブリッド計算複雑、経理工数増大
③ 全体売上成長分商品欠品・季節変動・競合参入などEAP制御外要因で報酬ゼロの可能性
④ 広告経由売上成長分最大既存リピートが「成長」に寄与しにくく報酬削られる
⑤ 広告費×5%低(額も底)広告費を膨らませるインセンティブが働く=最悪設計。提案NG

10-3. 見落としがちな論点

ベース売上の定義(最重要)

最低保証(ミニマムギャランティ)

上限キャップ

契約期間・解約条項

計測トラブル時の扱い

経費の扱い

10-4. 推奨シナリオ

最終落としどころ(推奨案):
固定20万円/月 + 広告経由売上×3.5% + 全体売上成長分×3%(月額キャップ50万円)
構成9ヶ月累計設計意図
固定フィー ¥200,000 × 9ヶ月¥1,800,000EAP稼働コスト担保(下振れ防御)
広告経由売上 × 3.5%約¥1,165,000日常運用の成果報酬性を維持(①の70%水準)
全体売上成長分 × 3%約¥575,000先方のインセンティブ要望に応える
合計約¥3,540,000①単体の約 213%

三層構造により先方の「成果連動感」を最大化しつつEAP報酬総額を①より引き上げる設計。

次善案(シンプル重視):②ハイブリッド料率引き上げ版
①4% + ③1.8%(9ヶ月累計 約¥1,617,000、①比97%)。計算がシンプルで先方の経理負担小。

10-5. 交渉トーク例

③8.3%提示時のトーク

御社の成長意欲に応える形として、全体売上の成長分に連動する設計を検討しました。3月実績のYoY+31.37%が維持される前提で料率8.3%を置いています。これは現行の広告経由売上連動と同水準の報酬になる設計で、成長が上振れた際は御社とEAPで果実を分け合える一方、万が一成長が鈍化した場合はEAP側が報酬減のリスクを負う構造です。弊社として運用に一層コミットする覚悟の表れとお受け取りください。

論理構成:(1)先方要望の受止め → (2)具体料率と根拠 → (3)上振れメリット強調 → (4)EAPのリスクテイク明示(交渉上の貸し)

②ハイブリッドへの落としどころトーク

ご懸念の通り、成長分単独ですとEAP側のリスクが大きく、運用体制を維持する上で厳しい面があります。そこで広告経由売上に連動する固定的な成果報酬と、全体成長に連動するインセンティブを組み合わせたハイブリッド型をご提案します。料率は広告経由4%+成長分1.8%で、想定ベースでは現行水準とほぼ同等、成長が伸びれば御社負担を抑えながらEAPもインセンティブを得られる設計です。運用の安定性と成果連動性を両立する落としどころとしていかがでしょうか。

論理構成:(1)③のEAPリスクを正直に開示 → (2)ハイブリッドの合理性(安定+インセンティブ) → (3)具体料率と想定着地 → (4)「落としどころ」表現で合意を促す

10-6. リスク整理

リスク発生確率影響度対策
成長率が前提を下回る最低保証 + ベース売上定義を明確化
先方が⑤(広告費連動)を逆提示「インセンティブ歪み」論で明確に拒否
計測トラブルで報酬算定不能代替指標・再協議条項を契約に明記
契約後に値下げ要求12ヶ月縛り + 解約予告3ヶ月
成長分爆発でEAP報酬過大 → 関係悪化月額キャップ設定

10-7. 追加で必要な情報

結論(経営者向け30秒サマリー)

推奨アクション:
  1. 交渉の初手は現方針通り ③全体売上成長分×8.3% をアンカー提示(①と同水準を演出)
  2. ただし落としどころは②ではなく、「固定20万円/月+広告経由×3.5%+成長分×3%」の三層型を目指す(①の213%水準)
  3. 契約書にはベース売上定義・月額キャップ・12ヶ月縛り・計測トラブル時の再協議条項を必ず明記
  4. ⑤(広告費連動)は先方から逆提示されても「インセンティブ歪み」論で明確に拒否